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週間うたごえ新聞
2001年5月21日(月)


かぁごめ かごめ かぁごのなぁかの とーりーはぁー......
ないしょ ないしょ ないしょのはなしはあのねのね......
 すみだトリフォニー大ホールの聴衆を一人の声だけでひきつけるリサ・ガーシュテンさんの歌声。それは栗山文昭氏が言うまさに“魂としてのうた”だった。
 「この人のうたを聴いた時、童謡と言うよりソウル、魂を感じました。それで童謡・唱歌でプログラムしたAプロに出演をお願いして、SWAN童謡の会のみなさんとのステージを“いやしとしての、魂としての......”としました」、Tokyo Cantat2001総合プロデューサーの栗山さんに事前にお話はうかがい、CDも聴いていたが直接聴いた演奏は、童謡がこんなにドラマチックで、しかも心の奥に響き渡る力強さがあったのかとショックを覚える。

チャンスをつくる散歩
 アメリカ生まれ、小さい頃から両親が好きな東ヨーロッパの音楽を聴いて育った。
その中のいくつかが童謡とてもよく似ている。また、父親が1945年、戦後の日本の救援のために来日。日本の惨状を目の当たりにするが、一方、日本の文化に感心を持って帰国した。おみやげの日本人形はとても気に入り、日本の文化への感心はゆっくり育っていった。
 大学で歌とパフォーマンスを専攻し、日本の山海塾の舞台を見て「これだ!」と来日する。そして4年前、今度は日本の学校の英語教師として再び来日。愛媛の漁村で一年、東京、京都で過ごし、大正琴も習う。
 童謡との直接の出会いは、ある時、散歩の途中にすれ違った子どもたちの、ニャーニャニャ ニャーニャニャニャー という甲高い歌声からだった。何と歌っているんだろうと友だちに聞くと、「通りゃんせ」という童謡だと言う。テープにとり、歌詞を聞き、意味を英語で反芻して歌ってみると、その歌から感じられる情景は自分もいつか体験した断片と重なって郷愁が湧く。次に覚えたのは「十五夜お月さん」。
 そして、現在、京都で定期的なステージも持つ出会いのチャンスも散歩の時、喫茶店のオーナーの「何か私にお手伝いできますか」と聞いてくれたことからだった。

自分の歴史を歌に
 この時「私は日本の童謡歌手です」と言ったリサさん。それならとステージを与えられたが、この時の持ち歌は「通りゃんせ」と「十五夜ノ」の二曲だけだった。オーナーの好意で本格的に歌い始め、現在彼女の童謡、子守歌のレパートリーは300という。300もあるのか、と驚くほどだが。
 「古いメロディーにも惹かれるが、一番好きなのは中田喜直さんの『夜店のうた』。そして『赤とんぼ』」というリサさんのステージ衣裳はかすりのもんぺに大きなブローチとたびの刺繍も赤とんぼ。
 「童謡や子守唄には悲しいドラマ、こわい話もある。だから私は子どもの声のように高い声ではなく、少し低く、しっとりと私の歴史を入れて歌います」。
教室は畑、先生は畑仕事のおばあちゃん
 リサさんの童謡の先生は京都郊外で畑仕事をしているおばあちゃんと自分だと言う。
 「畑でおばあちゃんから歌を教えてもらっているときが一番楽しい。一服のだんごやお茶も。腰をおろしてゆっくり空をながめ、赤とんぼをながめているのが最高!日本にはこんなすてきな文化がある。私の願いはずっと日本で童謡・子守歌を歌って暮らしていくことです。」
 たくさんの人にリサさんの歌を聞いてほしい。(純)

注釈

  1. 「Tokyo Cantat 2001」は、2001年の4月29日から5月6日にわたり、すみだトリフォニー大ホールで催された音楽イベント。リサ・ガーシュテンは、4月30日(月)に同イベントのプログラムの一部として公演した。
    (文責:当サイト管理者Koji Yanagisawa)
  2. 「Tokyo Cantat 2001」について
    Tokyo Cantat2001のホームページより引用)

    TokyoCantatとは……
     「Cantat(カンタート)」は、一定の期間に集中して合唱のためのコンサート、講習会、講演会などを行うイベントを意味する新しいことばです。 私たちは、世界合唱連合によって4年ごとに開催される「ヨーロッパカンタート」を模範として、日本における合唱音楽の浸透と文化としての合唱活動をの振興を目指して、 Tokyo Cantatを企画しました。海外の音楽家を講師として招聘し、その講師が日本の合唱団を指揮して行うクロージングコンサートを柱に、公開リハーサルや各種セミナー、また、東京以外の地域でのサテライト・セミナーなど、多彩なプログラムが1週間(2000年は2週間)にわたって開催されます。 これらのイヴェントが合唱にたずさわる全ての人たちにとって開かれた場となり、将来にわたる文化としての合唱活動の大きな糧となることを確信しています。

    「Tokyo Cantat 2001」のホームページ:
    http://www.ki.rim.or.jp/ ̄t-cantat/

めぐみホーム機関誌「夢」21号掲載記事より
(平成12年(2000年))

 5月6日(土)リサ・ガーシュテンさんが日本の童謡を歌われる‘ぬくもりライブ’を催しました。リサさんは、日本の童謡に強く心惹かれ、毎日お住まいの近くの山の中で歌っておられるそうです。そして、京都のある喫茶店で週一回のライブを続けられ、老人ホーム等でも歌ってこられました。当日、めぐみホームは多くの障害をもつ人、もたない人、若い人、高齢の人たち約80人が参加してくださり超満員状態でした。
 最近、こどもたちが親しみ、口ずさむ歌といえば テレビのアニメの世界で流行している曲が多いようですし、若いお母さんたちが自分のこどもに歌って聞かせる歌も同様のものが少なくないように思います。次第に私たちの社会から童謡を歌ったり、聞いたりする機会が少なくなってきたようです。
 しかし、リサさんは日本に伝わってきた童謡に心惹かれて歌い続けてこられました。リサさんが歌われる童謡の一曲一曲は古くから多くの人たちがさまざまな思いを込めて歌い継がれてきたものです。リサさんはその曲に秘められた人の心を大切にして歌っていきたいと願っておられます。明るい曲より、悲しく、淋しい曲が好きだと語られていましたが、それらの曲には長い日本の歴史のなかで、とりわけ貧しい人たち、虐げられてきた人たち、さまざまな重荷と苦悩を背負って生きざるをえない人たちの心が秘められており、ひとときの心の安らぎを歌からえられたことも多かったのではないかと思います。
 めぐみホームは心と心のひびきあう出会いを求めてきましたが、リサさんの‘ぬくもりライブ’では歴史をさかのぼり、ひとつひとつの童謡に秘められた多くの人たちの心との出会いを感じさせられ、又、聞く私たちの心に幼い日の思い出がありありとよみがえってきて、ここちよい郷愁に涙される人も多くおられました。参加された人たちの疲れた心があたたかく、満たされるひとときとなりました。

注釈
「めぐみホーム」について

めぐみホームは、様々な障害を持っている人達が自 由にやってこられる場所、また障害者と健常者のフリースペースとして、1988年に開設された。
(文責:当サイトの管理者Koji Yanagisawa)

めぐみホーム
〒612-8089
京都市伏見区銀座1丁目360
TEL:075-612-0364
FAX:075-612-0322 


Kyoto Shimbun 2000.1.6 News ------------------------------------------------------------------------

日本の童謡に魅せられた  アメリカ女性が喫茶店ライブ  

 日本の童謡に魅せられた米国人女性が二年間、京都市内の喫茶店で歌い続けている。繊細で温かな歌声が評判を呼び、京都市内の寺院にも招かれ、歌を披露している。喫茶店のコンサートに毎回のように訪れるファンもおり、懐かしい響きに耳を傾けている。

 米国ロサンゼルス出身のリサ・ガーシュテンさん(37)。大学で歌と踊りを専攻したあと、十年前、舞踊を学ぶために初来日。いったん母国に戻ったが、日本の学校で英語を教えるため、三年前に再来日した。愛媛県の漁村で一年を過ごす間に大正琴を習い、「かあさんの歌」などを聞くうちに、童謡に愛着を持ったという。

 リサさんは自分が歌う場を求めて二年前に京都へ来たとき、三条通でふらりと入ったギャラリー喫茶「カフェ・デイヴィッド」(京都市中京区三条通東洞院東入ル)が、舞台を快く提供した。

 以来、毎週日曜の夕方に三十分ほどのコンサートを開催。「ふるさと」や「赤い靴」など、なじみ深い曲のほか、季節に合わせて曲を選ぶ。伸びのある歌声に加え、感情豊かな手ぶりが聞き手を引きつけている。コンサートの最後は「たき火」を客と一緒に歌う。

 口コミで評判は広がり、京都市内の寺院や、老人デイサービスセンターで歌を披露したことも。テープやCDで独学を続け、この二年間で、持ち歌は二十曲から百二十曲にも増えた。

 自宅近くの左京区修学院の森の中で毎朝、もんぺ姿で練習し、休日には「もちを食べ歩くのが好き」というリサさん。どこか憂いを含んだ歌声には「今の日本は、私が思い描く日本ではない。古い日本を大切にしてほしい」というメッセージが込められている。夢は「バイオリンと童謡だけのコンサートで、日本じゅうを回る」こととか。新年は十六日からステージを再開する予定。


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